ポルノ惑星のサルモネラ人間/筒井康隆

d0037562_23272185.jpg「自選グロテスク傑作集」との副題の短編集。表題作以外には、筒井作品の中では私のベスト5に入る「カンチョレ族の繁栄」など6本収録。中学以来久しぶりに筒井SFを読むと、作者の深い奥行きを思い知ることとなった。無邪気な子供のころは、グロテスク・エロティック・スラップスティックである表面的なものだけを喜んでいたけど、実は深いところから光りを放っている作品であることに気が付く。筒井先生は真の教養人だなぁと尊敬。

さて表題作の「ポルノ惑星のサルモネラ人間」である。地球から遠く離れたカブキ恒星系のナカムラ星、通称ポルノ惑星に、地球の科学者の一団が生物の生態調査研究に来ている。ところが現地で問題が発生し、調査隊のうちの3人が対処法を聞きに原住民であるママダルシア人のもとへ行くことになる。湿地帯を通り、ジャングルを突破する途中、奇妙な動物群に何度も襲われる。ようやく対処法をママダルシア人に伝授され、基地へ帰ろうとする矢先、研究者である最上川博士が襲われ・・・というストーリー。

探検の傍ら、奇妙な生物群を見るに当たり、主人公と最上川博士とのやりとりで行われる「進化論」に対抗する「退化論」談義は作者特有の視点で面白い。そして全裸で生活するママダルシア人のセックスライフと、気が狂ってしまう最上川博士を通じて、現代人の抱える「性」の問題を厳しく風刺する。中学生の自分には、表面的なストーリーしか追えなかったのだけど、今回はこういった話の核が浮かび上がってきたのだ。25年ぶりの再読は本当に楽しかった。

しかし、読者プレゼントにもなっている表紙のフィギュアには疑問。写真映えからしても、ものすごくチャチだ。何故天下の新潮社が「ローレライ」のマネをするのか、どうせマネをするなら、せめて海洋堂に頼めなかったのか?疑問残りまくりです。

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by musigny2001 | 2005-08-16 23:30 | 筒井康隆


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